うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

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非人情な新次郎は、この時期が来たことを昨日まで忘れていたので、文字通り寝る間も惜しんで勉強していたのだが、眠気が襲い、夢と現実の境でしか物を考えられず、相当効率が悪かった。こうして、中途半端な努力をだらだらと続けているうちに、外がほのかに明るくなったことに気づき、時計を見る。5時半。元々これくらいの時間に大学に向かうことに決めていた。徹夜で起きていると、一度眠気が襲った後、慣れてきて目が覚めるのだが、またこれくらいの時間になると、また襲われることを知っていたからだ。そうすると、試験に間に合わず努力が無駄になるので、先に大学に行って、起こしてもらうことで確実に逃すことはない。電車の時間を確認した後、一生分の視線を注ぎ続けたレジュメの束、消しゴムとシャーペン、薄い財布を穴が開いたのリュックに無造作に押し込み、服を着替える。さぁ出発というところで、胃がきりきり痛み、昨日の麻婆豆腐の味を思い出させる。やむを得ず、トイレに入って、下半身に力を入れてみる。だが、苦痛は増すだけで体から抜ける様子はない。さらに粘ってみても、後悔の念が増すだけだった。座っていることに落ち着いてきて眠気まで襲ってくる。こりゃダメだ。時間が経てば消え去ることを信じて、痛みを感じながら靴を履いてドアを開けた。
 外に出てみると、まだ太陽が水平線から完全には抜け出していなかった。昼間の皮膚を突き刺す強い光からは想像できないほど、優しく静かな光が世界を覆っている。それが人工的に植えつけられた植物の葉の上に反射して、白と緑、そして虹色が不規則に入れ替わって、一瞬を記憶させない映像を作り出していた。