うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

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我が物顔で自然かつ無遠慮に入ってくる。苔の如く地面にへばりつき、花を咲かせる余裕のない新次郎と比べて、彼女は鈴蘭の如き繊細な美しさである。顔が非常に小さいせいか、頬が異様に大きくふっくらして見えるのだが、風船の如き無粋な脂肪の塊でも、痩せこけた骨でもない絶妙なバランスで輪郭を描き出しており、その間にくっきりと映し出された高い鼻が流れるように切れ長で鋭さと繊細さを兼ね備えた目に向かっている。陽光の線が反射する整えられた黒い髪は後ろの一点でまとめられ、そこから溢れ出し、徐々に細くなりながら。小さな背中から真っ直ぐ長い足へ視点を繋いでいる。新次郎はその美しさに何も感じられぬほど非人情ではないものの、既に平凡の内に加わっていたため、世間一般のように欲情することはなかった。