八月上旬のある日、私は机に突っ伏していた。頭が上がらない。いつも体を支えている腕に力が入らない。指から力が抜け、手は本来の姿に戻っていた。そして、何よりも呼吸が激しくなっていた。全力で吐き出し、その反動で全力で吸う様は深呼吸である。だが、全力で吸った反動で、全力で吐き出してしまう。鶏が先か、卵が先か理論でその止め方を忘れてしまったのだ。
「うひょーくん、大丈夫か?」
飲み会の時、地蔵だった先輩がいち早く気づいてくださったのを覚えている。答えようとして、呼吸で返したのも覚えている。
「立てるか?」
五年目の先輩に、体をさすりながら聞かれたが、当然呼吸でしか返せない。
しばらくすると、救急車のサイレンが耳の中にこだました。あぁ、俺は今から救急車に運ばれるんだ・・・。
「こっちです!」
支店長の声が僕の元に救急隊員を誘導する。丸まっていた背が伸びる。体が浮き上がる。仰向けになる。廊下の小さな段差を通って揺すられる。
わずかに薄目を開けられるようになった時には、救急車と僕の直属の上司であるA係長、救急隊員たちを認識した。
血圧を測るために腕を抑えられて、私はうめき声を上げようとしたが、汚い息が出るだけである。
病院では係長も見ているのに
「もういやだ!つらいのはいやだ!」
と注射を断った。私は我慢の殻を完全に失っていた。
そんなわけで次の日、精神科に行くと、すぐに鬱だと診断された。
なぜ、こんなことになってしまったのだろうか?やる気があれば次も書きます。