うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

読書感想文 アレクサンドル・デュマ「モンテ=クリスト伯爵」

どうも、僕です。今回はアレクサンドル・デュマの「モンテ=クリスト伯爵」の感想文を書きます。岩波で全七巻くらい出てますが、売ってませんでした。そこで買ったのが、新井書院の大矢タカヤス訳のものです。
 本来七巻になるような作品を、一冊にするという暴挙に出たこの本は1486ページもあります。読むのには苦しみました。なにせ、重い。分厚すぎて通勤の合間に持っていけない。でもいい点もあって、ちょくちょく挿絵が入ってきて一休みできるんですわ。やっぱり文字ばっかりおってると息が詰まりますからね。横書きも最初は読みにくいと思ったけど、そもそもフランス語は横書きなんだからアリですな。
 と、ここまでまるで金をもらって宣伝してるかのような内容でしたが、本題。

 要約といってもネタバレになってしまうのであらすじだけ。
 人を疑う事すら知らない善良な船乗りエドモン・ダンテスが、恋人メルセデスとの結婚式の日、突然逮捕されてしまい、地下牢生活を過ごす羽目になる。その裏には四人の知り合いがいた・・・。牢屋での生活についにしびれを切らし、食べ物を拒否して餓死しようとするダンテス。だが、そこで一つの希望が見える!どうやら隣の囚人が脱獄しようとしているらしい!その隣の囚人の名はファリア神父。とんでもない教養人で、脳筋ドカタのダンテスは一躍知識人に。ようやく裏切られたことに気づき、復讐を決意する。そのあとはお楽しみに^^

 長すぎるから要約できんのですね。全体的によかったのは、まず復讐は復讐しか生まない!とかいう糞みたいなテンプレ展開がない。裏切った四人のうちの一人フェルナンの息子は、最初父親の為に決闘するとか言い出すんだけど、理由を知ってから「そりゃ当然だ、こっちが悪いや!」と手のひら返すくらいだ。次に一つ一つよかったところを挙げていくぞ。
 エドモン・ダンテスことモンテ・クリスト伯爵が、復讐とか言いながらヤケにいいやつなところがいい。よっしゃ脱獄や!復讐や!と思ったら、まずは囚人になっていた時に助けようとしてくれた人に恩返しすることから始まる。また、恩人の子どもを自分の息子のように助けたりするところもまたいい。
 そうはいっても、絶望的な境遇なのがいい。14年経って出てきたら、恩人は破産寸前、自殺寸前だったり、お父さんは餓死していたり、婚約者は裏切ってフェルナンと結婚したりともう散々。そりゃ復讐するわって読者もさすがに同情しちゃう。そんな工夫がある。俺は、昔恋人を殺されたんだ・・・とか言って急に回想に入って一話で終わらす糞アニメとは大違い。
 そして、復讐の仕方がすごい。四人が死ぬときには必ず自分の正体を明かすんだけど、その瞬間は本当に震える。そして絶対にばれない完全犯罪もすごい。登場人物もめちゃくちゃ多くて、魅力的な人間ばかり。
 最後に勝手な趣味だけど、当時のフランスの状況がよくわかる。これを読んでるだけで、ナポレオンと王政の交代劇とそれに伴う社会の変化の様子に詳しくなれる。国民性までわかる。普通の小説なんだけど、歴史が好きな人にもお勧めできる作品である。

 以上、とにかく面白いこの作品。純文学じゃないんで、軽い気持ちで是非読んでほしい。