うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

岩太郎

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。毎日、おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。家は山の中腹にあって、すぐ後ろには村が管理する檜林への入り口があって、そのまま森に続いています。川がすぐ西をまっすぐ流れて、海につながってる様子を一望できる素敵な家でした。ある日、いつものように家の裏口から出て、柴刈りをしにいきました。踏みなさられた道を登っていると、背中に日を受けて、汗をかくのですが、檜の間を秋風がすり抜け、快く肌をすり抜けていくので、辛くはありませんでした。ところが今日のおじいさんは枝を見つけても、気にせずにまっすぐ進んでいきます。ずっと奥に進んだところ、徐々に葉が大きくなって、森が深くなってきたころで、道を逸れて、ようやく枝を探し始めました。一本、二本、三本・・・。籠がいっぱいになっても、帰ろうとせず、奥へ奥へと進みます。地面には苔が張り付いていて、その上をマメヅタが覆っています。光は無数の葉に遮られ、日を直接仰ぐことはできません。次第に湿った土の匂いが濃くなってきました。周囲にじっと目を凝らしながら歩いていますが、道に迷っている様子はなく、何かを確信しています。