うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

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小学校に辿り着き、見えすぎる校門を通り過ぎた。微かな砂埃を引き連れながら、同年代の人間が同じ入口に、無意識で近づいていく。昨日までは、自分もそうだった。生まれてから、同じ場所に集まり、話をして、遊ぶ。勉強は苦痛であった。授業や始業式で黙って座るのは、苦痛であった。しかし、初めて遭遇した人間社会を楽しむ感情が芽生え始めてから、毎日が楽しくなった。運動会では単調な応援の練習をし、本番で一体感を感じて興奮した。そして、初めての恋ーーー。失われた純粋な宝。
 見えすぎる階段を登って、廊下を通り抜ける。目の前に見える開けっ放しの教室に入った時、新次郎は初めてその場にある全てを恐れた。友達と話すこと。その一点を楽しみに来ていたことが信じられなかった。向けられる視線は、失恋を嘲っている。