うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

とんでもない爺さんの話

親譲りの不器用で社会に出てから損ばかりしている。夏目漱石が生きていたら、僕を見て「坊ちゃん」を破り捨てると思う。空気を読むのが苦手だ。それでも何とかなるのが世の中で、のど飴舐めずに、人生を舐めている。気づけば、社会に出て八ヶ月。これだけ経つと、さすがの僕にも、社会が見えてきた。
 どこの支店にも、歳を取って正社員から非正規になったお爺さんが、一人いる。主に雑用をやるので、新人とは一番年が離れているのに、一番早く仲良くなったりする。僕の店にも、いた。そのお爺さんは、Q-CHAN牧師並に笑顔が素敵な人である。雑用を半分背負ってくれた。愚痴も聞いてもらった。僕は菩薩と密かに呼んでいた。キリスト、ブッダムハンマド。あらゆる聖人の称号を得たあのお方は、定年によって、長い社会の苦痛から解放なされた。ありがとう。ネットの片隅で感謝の気持ちを述べておく。
 問題はその後だ。サタンがやってきた。閻魔、アスタロト、蠅の王。あらゆる悪魔の称号を得ることになるクソ爺である。奴は、とんでもない。来て早々、菩薩がやっていた仕事の半分をやらなくなった。その穴を、僕と一年上の先輩が埋めた。仕事を頼まれれば、相手が誰であれ文句を言う。ミスをして、上司は何度も謝っている。最初は敬語で話していた上司も、今では完全にタメ口になった。預金の主任は、子どもをあやす様に説教している。
 だが、最終的にサタンは馴染んだ。誰も相手にしなくなったのである。誰も頼まない。誰も関わらない。職場の孤島になることで、社会の歯車になったのである。それは奇妙な調和だった。芸術だった。日本人は、はっきりと物を言えない。困った人間がいたら、触れない国民性。奴は、まさにその隙間に滑り込み、たった一ヶ月で、窓際の地位を得たのだった!
とんでもない爺さんだ!!!こうやって、社会の苦痛をかわし続ける方法があったとは!!!このメンタルが僕にもほしい!!!!!!!!!!!
 じゃあな。