うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

新しいものを求めて既に三年経ったが、新次郎の生活は悪くなるばかりであった。東京が悪いからではない。田舎と比べて、どこへでも電車で行けるし買い物でも少し歩くだけで目当ての物が見つかるから、快適な生活が送れる。だが、貧困ゆえに快適な生活を手に入れることはできない。結局、自らの怠惰に行きつく。この論理を彼は何度も繰り返した。トイレの中でも繰り返したのだ。繰り返される思考が声となって聞こえてきても、精神に染みついた怠惰が取り除かれることはなかった。ふと座っているという事実に気がついた。座っているとはどういうことなのだろうか、下を見ると太い棒が二本便器に横たわっており、間にはもう一つ棒がぶら下がっている。試しに動かそうとした。動いた。また泥沼にはまる。そう悟った新次郎は、ついに外へ出る決心をしてドアを開いた。彼はここ一か月で初めて外に注意を向けた。最初に気づいたのは、自分がファミレスでハンバーグを食べていたという事実だった。何も見ていなかったことに驚き、周囲を見渡す努力をした。一番近くの席には自分と同じ学生にみえる男が3人、女が2人、隣の席には孫を連れた老夫婦、さらに隣の席には上下関係がありそうな二人組のサラリーマン、その奥の一人席には若い女が座っていた。