うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

「それなら生活保護を受ければいいだろう。気持ちは同じなんだろ?」
「同じというのは例えに決まっているだろ。そこまで落ちぶれる気はない。」
「今のお前は同じようなものだろ。」
「いや・・・。」
突然、山中の顔がぼやけ始めた。肩が重い。その重さに引きずられて背中を曲げた。ふと、恐ろしい違和感に気づく。机の上に置かれた先が五つに分かれた何かを忘れてしまったのだ。僅かな理性が自分の身体の一部であると告げるものの実感が全くない。なぜそれを動かせているのかが信じられぬ。ロボットだろうか?サイボーグだろうか?肌色の何かは不快感を感じさせる。加えて、私の頭の中で意味のない言葉が回り続ける。生活保護、合理的、金、経済、金、手、自分の手。自分の手?どうしてこれは自分の所有物なのだろうか。考えてなくても動き出す妙なものである。道具を使うときは、ちゃんと考えて使っているだろう。だが、使っている本体は考えずに使っている。枝の一つをじっと見つめながら動かしてみた。まるでタコの足が動くようである。自分の脳の動きとは関係なく勝手に蠢くその物体の不快感に恐怖した。しかも、考えて言葉にしようとすると全く別の事実に変わっている気がする。考えずに動いているものを認識できないから当然だ。そもそもこの考えている俺は一体何なんだ。この声はなんなんだ。耳から入ってくるわけでもないのに常に聞こえている。世界に真の静寂など存在しないのだろう。常に自分が聞こえてくるからだ。静かにしてくれ。やめてくれ。新次郎は訳の分からぬ考えに追い詰められ、トイレに逃げ込んだ。