うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

「彼岸過迄」感想文

今回は夏目漱石彼岸過迄」を読んだぞ!
ついさっき書いたブロマガでもあったが、このタイトルは夏目漱石が彼岸過ぎまでには完成させようと思ってつけたものだ。
彼岸過迄に就いてっていう文章も本の最初についてたんだけど、これがかっこいい。
ーーただ自分は自分であるという信念を持っている。そうして自分が自分である以上は、自然派でなかろうが、象徴派でなかろうが、乃至ネオの附く浪漫派でなかろうが全く構わない積である。ーー
お札に載るほどの文豪がこういうこと言うと最高にかっこいいよな!

まぁそんなわけで要約
主人公は敬太郎。この男はとにかく普通じゃないことを経験したいという心の持ち主で、森本っていう謎の旅人みたいな人と会う。途中で森本が家賃を踏み逃げして逃走、ヘビの頭のついた杖を敬太郎に渡します。そんな中、占い師に将来を見てもらいます。占いはヘビの杖について述べられたものでした。
一方で、彼は今でいう就活中で友達の須藤の叔父さん田口にその面倒を見てもらおうとします。そこで頼まれたのが探偵業です。ただ一人でおっさんと若い女性の二人組を追い回して特に成果も得られず終わり。しかもおっさんは須藤の二人目の叔父さんの松本で、女性は田口の娘・千代子であったことがバラされて結局探偵と言いながら大したこともせずに終わってしまいます。こうした流れで田口一家と打ち解けた敬太郎。一人幼女が死んだ話が挟まります。それは置いといて、ここから真の主人公須藤が活躍します。敬太郎は須藤と千代子の関係を勘ぐっていろいろ聞いて回り、最終的に須藤本人からその話を聞くことになる。
須藤の母は千代子が生まれたときに、須藤の婚約者にしたいと頼んだ経緯があります。つまり許婚みたいなもんです。ただ、須藤は千代子と結婚する気は全くない。彼自身は自分の感情より理性が働くタイプでどんなことをするにしても脳の中で終わってしまうタイプです。対して、千代子は感情の方が働くタイプでこの正反対な点を以て夫婦にはなれないと考えていました。
こうした中で、新登場人物高木が現れます。やたら千代子と仲がいい。それを見て須藤は嫉妬に狂うのですが、結婚したいという気持ちはさっぱりない。ついに千代子の堪忍袋の緒が切れて、「卑怯だ。」と須藤のことを罵ります。この喧嘩の後、須藤はさらに自分の殻に籠るようになって、叔父の松本に須藤母子が血のつながりのない関係であると言われ、さらに考えが止まらなくなって最終的には旅行に行ってそのままおしまいっていう話。


正直、最近全く要約になってないって思う。もういいんだ感想だ。
この小説には、余計なことを自分の中で考えすぎて追い詰められていく須藤の苦悩が描かれているんじゃないかと思う。何をするにしても自分の内面で処理しようとしてしまって、外に出さない。その結果、孤立して追い詰められていく。「行人」のお兄さんに似ている。
恋愛という曖昧なもの代表と、自分自身についてもはっきりと真実を探そうとする癖がついている近代の教育を受けた人たちの衝突が描かれている。そして夏目漱石の結論からすれば近代人が負ける。僕の解釈だと須藤は嫉妬の感情を抱き、およそ恋をしている。しかし、彼の理性は夫婦になった未来までも考え、互いの性質も全て考えてしまい、結婚をすることはできないという結論に至る。感情的なことに正面からぶつかっていく理性の限界があって、そうして余計なことを考えてしまうような「近代教育」の限界を示しているのだろう。
俺も余計なことを考えすぎて行動が全くできないことがある。また初恋の話に戻ってくるわけなんだけどな。
あと、この作品ももちろん「嫉妬」の描き方が秀逸で読んでる自分が勝手に嫉妬してたわ。
まぁ何はともあれ、恋愛って複雑だよね~wwwww
終わり。