うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

小説紹介 フランツ・カフカ「変身」~あなたは自分を追い詰めていませんか?~

 どうもこんばんは僕です。

 昨日僕は初めて友人に本の解説をしました。漫画で読むシリーズがあって、それでちょっと気になったらしく、質問されたわけです。

 そこで出てきたのはこのカフカの「変身」

 主人公が、突然化け物に変身して、一家の腫れ物になり、最終的にはリンゴを投げつけられて死んでしまうという話。

 で?この小説何が言いたかったの?と思う人は多いのではないでしょうか。
 「訳わからない感じが評価されてるだけだろ!?」とかいう暴論にまで達しかねない人もいることでしょう。

 

 結論から言うと社会で追い詰められたカフカが必死に空想に逃げた小説なのです。

 少し詳しく話を追っていきましょう。

 小説の主人公、グレゴール・ザムザ君は一家の大黒柱。父も母も妹も全員彼の収入に頼り切っています。そんな彼が急に化け物に代わり、仕事どころか家族中から疎まれる存在となります。

 家族の今後を心配して、早く戻ってみんなのことを助けなきゃ!と悩む日々が続きますが、徐々に化け物の体に慣れていきます。意外と快適だなぁなどと思い出したころ、家族もザムザ君の貯金を崩しつつ、少しずつ生計を立てられるようになっていきます。

 最後にザムザ君がリンゴを背中に投げつけられて死ぬとき、既に家族は完全に自立しており、ザムザ君のことを完全に忘れて、はい終わり。

 

 という感じです。

 社会人の皆さん、こう思ったことないですか?「俺が休んだら他の人が困る」「仕事が回らない」だから、「風邪をひいても出社しなきゃ」「有給は絶対とれない」と。

 カフカも社会人でした。同僚の証言によれば、とてもきさくで仕事ができたそうです。僕たちと同じことを思っていたでしょう。

 ところが、彼は僕たちより少し天才でした。「俺がいなかったら困る」という観念に対して、「本当にそうか?」と疑問を投げかけたのです。投げたはいいが、リアルで実践するわけにはいかない。それで小説という空想の中で、自分に似た人物を不条理な出来事によって社会から消滅させたというわけ。ここもやっぱり彼が天才だった。風邪といった体の不調じゃどうあがいても復帰せざるをえないから、変身させて絶対に復帰できない境遇に主人公を追いやったのです。ちなみに主人公が死ぬパターンだと小説として社畜の気持ちが書けないのでこのアイデアもダメです。

 話を進めていくうちに、やっぱり俺っていなくても大丈夫じゃん、もっと気楽に働こう!という気持ちになれるわけです。グレゴールザムザ君も少しずつ化け物の姿になれていったでしょ?最後には死んで消滅しても、家族は勝手に自立する。カフカはこの小説を朗読しながら笑っていたというエピソードもあります。よっぽど追い詰められていたのかもしれませんね。

 

 社会人の皆さん、あなたは自分を追い詰めていませんか?いなきゃみんなが困る!だからどんだけ苦しくても戦わなくてはならないと自分を追い詰めていませんか?もちろん責任感がなきゃ社会は回らない。でも、ちょっとぐらいはいなくてもいいんです。人間は平均化されることで、社会を安定化させているのですから、あなたがいなくても、だいたいなんとかなります。

 体を壊さないように、僕みたいに鬱病にならないように、たまにはガスを抜きながら生きていきましょう。終わり。