うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

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「あれ!東京タワーだよね!?」
 今や過去の遺物になったとはいえ、全身が赤と白で彩られた塔は、はっきりと存在感を示していた。東京タワー型のペットボトルに入ったただの水という無駄な買い物をしたことを思い出した。
東京都庁があるらしいんだけど、どこかわかる?」
「あれじゃないかな、ほら右の方」
目を凝らすと東京都都庁があった。膨大なビルの群れに紛れてしまって、よくわからない。確か、あそこにも展望台があった気がする。
「あの白いのって何?」
「東京ドームだと思う」
ドームというより白い円盤のようなものが都会の中心で際立っていて、一目で何か特別なものだとわかる。
「あれが浅草寺だね」
コンクリートの森の中で、不自然に木の森があって、その中心に寺がある。別世界のようだ。
 こうして、一通り一周すると、さらに上に行く。彼女がチケットを見せるのを見て、逃げ出したくなった。最上階に上るまで3000円もかかっている。まさにヒモだ。情けない。関係をはっきりさせて、もし、結ばれることがあっても、彼女を不幸にするだけだ。