うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

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窓の外をいくつもの家が通り過ぎていく。わずかな陸地を一つも無駄にしまいとする決意の表れのように自然が存在しない風景だ。平日の昼だからか余裕をもって二人とも座ることができた。まさかこの乞食と美女が知り合いで今から一緒にどこかに行こうなどとは一人も考えないだろうということに気づき、乗客の視線を避けるために無言を貫いていた。
「決めた、今からスカイツリーに行こう。私初めてなんだよね。もちろん奢ってあげる」
さっそく計画が失敗した。乗客の視線が気になって、周りを見渡す。
「いいよ」
できるだけ乗客に見つからないように簡単に返事を済ます。
「新ちゃんは初めて?」
「そうだよ」
「元気ないね、大丈夫?」