うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

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「時々ぼーっとして何考えてるのかわからないときあるよね」
 記憶の海から引き戻される。真っ直ぐ覗き込まれていることに気づき、できるだけ平静を装いながら顔をそらす。
「まぁそういうこともある」
「何考えてるの?」
 邪気のないただ純粋な興味が乗せられた視線が、未だに真っ直ぐ向けられているのを感じると、自分の人を見る目の汚さを目の前につきつけられているような気がして、右頬が歪む。
「言っても面白くないことだよ」
「そっか」
 横目で無表情な顔を確認する。全く納得していないようだった。
「よし!準備して!」
「服これだけしかないんだけど」
「それで十分だよ」
 本当はどう思っているのだろう。誘ったことを後悔しているんじゃないだろうか。何のメリットがあるのだろう。高校時代、友達がクラス一の美人とその不細工な友人と話しているのを見て、「なんで、いつもあんなのとつるんでいるんだろう。あの子の価値が下がる」などと残酷なことを言っているのを耳にしたことがある。俺は一緒に外に出ることによって彼女の価値を地に貶めているのだと思う。もちろん、疑問を口にする勇気はない。あぁ彼女のように真っ直ぐ聞くことができたら!それは叶わぬ空想だ。生まれつきの天性の本質が違うから、絶対に無理なのだ。最後の審判が本当にあるとしたら、キリストから見て左にいるのが俺で、右にいるのが彼女に決まっている。