うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

おでんの具について語る。

お題「おでん」

 おでんというと、大きな土鍋に輪切りの大根に、三角のこんにゃく、半分に切った里芋、ちくわ、がんも、たまご、ゴボウ巻・・・。温かい出汁の中でじっくり味が染みた具材。湧き上がる湯気から、香ばしい匂いが漂う。寒い通勤時間に想像するだけで体が温まる心地がする料理である。
 おでんの具で一番好きなのは、やはり里芋である。ヌルヌルの中に芯の通ったあの食感が大好きだ。里芋は皮をむくのが非常にめんどくさい。ピーラーが使えないから、包丁でいくしかないが、リンゴの皮むきとはわけが違う。全く包丁が入らない上に、泥まみれで汚い。それだけの苦労もあって、一番美味しい具材として君臨しているのだと思う。

 逆に卵は嫌いだ。茹ですぎて黄身も白身もカチカチで大して美味しくない。口の水分が取られる。何故か人気具材の一角を占めているが、好きだというやつは全員ガイジだと思っている、

  今更だが、おでんの具は色に花がない。たぶん、冬だから葉物の野菜があまりとれず、たくさんとれる根菜を詰め込んで煮た結果こうなったのだと思う。先人の工夫がみられる素晴らしい料理である。

 私は山芋の気持ちがわかる男である。地上は寒い。だが、彼は地球のマントルのパワーによって、いつも暖房ガン回しの部屋でぬくぬくと生きている。たまにモグラや、ダンゴムシが部屋に入ってくるのが気持ち悪いが、快適である。

 そんな私は最近地面から抜かれ、同胞たちの上に横たわっている。抜かれてしまうと食事ができないから、ここ数週間空腹である。とはいえ、動かず寝たきりのぐーたら生活で、太るだけだからいいのかもしれない。隣には葉っぱがたくさん並んでいる。私の体から伸びるものとは別の種類のようだ。寒いわけでもないし、ここでの生活も案外いいかもしれない。

 突然、私は宙に浮いた。体中を包むように五本のしわくちゃの枝が、絡みつき、持ち上げられ、そして落とされた。とてつもなく痛い。同胞たちとここにやってきた時も大概痛かったが、まだ優しかった気がする。今度の衝撃は強すぎる。

 ガラガラという音を聞きながら、移動していく。今度はブンブンという音とともにすさまじいスピードで移動している。こんなスピードを味わったのは初めてである。冷たい風が私をあちらこちらに揺らすのが本当に辛い。

 気づけば私は白い板の上に横たわっていた。水浴びをさせられ、泥をはがされる。そして・・・。痛い!痛い!!いだっだだだだだい!!!俺の皮があああああああああああああ!!!!むける!!!!!むける!!!!!!!!!体が!!!体が!!!!!!半分に!!!!!裂かれる!いだいいだいいだいいだいいだい!!!

 あづいいいいいいいいいあづいいいいいいい傷口にしみるうううううなんだこれは・・・いだいいこの水はなんだあ!?!?!?熱い熱い熱い熱い熱いくるしいいいいいいいいいいいいいいいいいい・・・!!!!

 すりつぶされている!うわああああああああ、いたいだいぢあいぢだいぢだいあい・・・・・。

 こうして里芋は死んだ。

 終わり。