うひょーくんのブロマガ

つまりそういうこと

神保町ブックカフェ

どうも僕です。

そういえば、僕は神保町ブックカフェに行ってきたことを思い出しました。昔、岩波ブックセンターという、岩波書店系の本が大量に売られている本屋があったのですが、それが2016年11月に閉店し、今回のブックカフェができたとのことです。

確かその年の夏、東京見物だと言って友人の家に泊まっていたと思います。社会が嫌で嫌で仕方なくて、本を100冊読むとか言い出したのもあの頃、小説から学問まで幅広く読みだした時期でした。泊まった友人の家は近かったので、珍しく古本屋を巡りたくなって神保町に行きました。
ほとんど記憶にないのですが、東京メトロの神保町で降りて、すぐ近くにあったと思います。岩波書店と大きな看板が掲げられた本屋でした。なんとも神保町らしい!と興奮して入っていくと、置いてある本がすごい。最初に目に飛び込んできたのは、夏目漱石石川啄木の俳句集。誰が買うねん!と思いつつ、当時の僕は現実逃避で俳句作りまくっていたので、買ったと思います。

そこから壁沿いに真っすぐ進むとマルクスコーナーがあって、日本政治コーナーがあって、さらに奥に行くと芸術書コーナーがあります。この芸術書がまたすごい。普通は画集として写真だけが大量に載っているのですが、岩波は違う。ほぼ文章で評論が書かれているのです。さすがの僕も買えませんでした。
このお店は岩波と資本提携をしているわけではないらしく、文庫本のコーナーには新潮社やちくまも顔を覗かせていました。

さて、そんなすごいブックセンター、潰れていました。破産申立をしたそうです。どうやら全く売れていなかったらしい。
そりゃそうですよね、現代では岩波のような本を読む人間はいないのです。読んだところで話のネタにもならないから、生き残るのは池上彰くらい。そんな状況で誰があの教養に特化した岩波の、しかも文庫ですらない学術書を買うというのでしょうか?アマゾンが少しだけ在庫を抱えて全国でたった一人いるかいないかの奇特な人間に、運送するくらいが一番なのです。
・・・というのを最近日経新聞で読んで、もう本屋って終わりだなぁなんて思っていたのですが、そこで知ったのが神保町ブックカフェ。さっそく突撃しました。

 入るとめちゃくちゃおしゃれな店内。写真撮るのが怖かったので、全体像はとっていませんが、入口から右側は普通のカフェで、壁沿いに本が並んでいる感じ。
置いてある本はやっぱりただの岩波。最初からマルクスを飛ばしてきます。ブックセンターでしか見たことのない芸術書もありました。

柱の案内には本を読むだけでもOK、コーヒー飲むだけでもOK、本を持ち込んでもOKと書いてありました。どうやら立ち読みもできるらしい。
よくわからなかったので、「す、すいません、これってコーヒーも頼めるんですか?」などと的を得ない質問をすると、本とは無縁そうなイケメンの店員が「席についていただければ、メニュー等ご案内しますよ」と答えてくれた。

このメニューが素晴らしい。岩波文庫のカバーをとるとオレンジのような茶色のような色の中身が出てくるんですけど、全く同じ見た目のメニューがやってきます。そしてメニューの文字も岩波風。ファン心をちょっとくすぐってくれます。
とりあえず文庫アイスコーヒーとチョコケーキを注文。店員のお姉さんに甘いものどうですか?と聞かれ、断れずにケーキまで買ってしまった^^;

 

で、それがこれ。

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ブログ書こうと思い立ったのはこのタイミングなので、ケーキも食べかけ^^;
光は読書を読むのに程よい強さの暖色。目の前には岩波文庫赤。あ~ジャンクリストフ読んでねぇや^^と思わず反省。コーヒーはまぁ普通、ケーキは岩波にしてはめちゃくちゃおしゃれで味も最高だったので驚きました。

さて、これが現代の本屋の実情というわけですね。新潮社は昔から小説の表紙を鮮やかにして、ライト層が手に取りやすい工夫をしてきました。一方岩波はいつまでたっても赤、緑、青・・・だったわけですが、今回のブックストアは相当新しい。置いてある本は古臭いですが、カフェは完全に時代に追いつけています。

ここからは岩波の悪口になりますがね、今まで古臭すぎたんですよ。岩波って押すところあります?君たちはどう生きるか?か、資本論くらいでしょ???しかも資本論は他の会社がもっとわかりやすの出していると来る。

表紙はいつまでも赤青緑。見た瞬間に誰もがうっとなってしまう。僕みたいなもの好きなら、あぁ岩波だなぁいいなぁなんて思うけど、世間一般は違うんですよね。たぶん岩波の社員も、僕のような人間なんですよ。でもコネ採用だから、完全に内輪に籠ってるわけ。

ライバルの新潮社はね、努力してますよ?僕の「ロミオとジュリエット」は全部ピンクのプレミアムカバーですし、できるだけ売ろうっていう感じがすごくするんですよ。表紙も凝った絵ですし。岩波文庫の表紙ってちょっとした絵とあとはあらすじの解説がついてるパターンですがね、それで誰が買うっていうんですか?今は本全盛期の世代が生きてるからいいけど、この先どんどん死んでいって、買う人なんていなくなりますよ。

しかもねぇ!翻訳本の種類も意外としょぼいんすよ岩波。
フーコーは新潮社だし、アーレント、レヴィストロースはみすず書房。岩波は何を翻訳したんですか?一般理論は確かに今でもみんな岩波読みますけどね、それくらいでしょう?資本論はもうほかの出版社のほうが面白いですからね。翻訳作業さえも今や他社に遅れてる。学問の発展だのなんだのと吹聴しておきながら、戦後の学者の本すら売り出せない会社なんてもうだめですよ。もっと本気出してくれや。

 さんざん悪口を言いましたが、今回の神保町についてはよく頑張りましたね、と言いたい。

今の本屋は経営が相当厳しいと思う。田舎じゃもう本は売れないから、3分の1は文房具、3分の1は中古ゲームとDVDレンタルがついてて、本はおまけ状態。
東京は人口があるから、マニアックな読者をひきつけるべく、とんでもない売り場面積で図書館より幅広い在庫を取りそろえる作戦が主流です。この物量があると、さすがにアマゾンでも対抗しにくい。

そんな中岩波メインで行くために、カフェを戦略としたのは素晴らしい。実際店内は常にほぼ満席。しかも、結構みんな本買ってる。カフェで立ち読みするには岩波の本は、分量が多く、内容も濃いから、最後は買って帰るしかないからだと思います。ラノベだったらこうはいかない。カフェでさらっと読んで戻すくらいの軽さだからね。

古風で難解な岩波の特徴を存分に生かしつつ、ブックカフェという流行をとらえた戦略はよく頑張りましたね!(上から目線)
資本論以外のマルクスと、一般理論を全部岩波で読んだ僕としては、やっぱり生き残ってほしいので、これからも是非頑張ってほしいですね。

 
以上!!