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つまりそういうこと

読書感想文 武者小路実篤「友情」

 どうも、僕です。

 今回は武者小路実篤の「友情」について書きます。ちなみにこの作品も新潮社ランキングトップ10です。「破戒」はどうしたの?と聞きたい方もいると思いますが、ちょっと待ってください!!!!!!正直エタだのヒニンだの(一発変換できない)は興味ないんです!今目の前にその人らが、身分打ち明けたとしても、それがどうした?って感じですからね。世間の人がどうかは知りませんが。

 

 さて、要約。

 野島君は超絶インキャの売れない作家。ある日、友人の仲田の妹である杉子に恋をします。あまりに好きすぎてたまらない野島。しかし、仲田は妹は嫁にやらん!と今まで求婚してきた相手を晒し上げたりする始末。それで誰にも相談できず悶々としていたのですが、とうとう昔からの友人大宮に打ち明けます。

 募る恋心。モテモテの杉子に近寄る男たち。早川というイケメンが擦り寄っている時は嫉妬で狂いそうな様子でした。そんな中、大宮と妹の武子は杉子に対して野島のすばらしさを一生懸命伝えます。ステマというやつです。

 努力の甲斐あって、杉子と徐々に打ち解けていきます。一方、大宮は杉子に対して冷たい態度を取ります。そりゃ友情ですからね、あんまり近寄られて、勘違いされても困りますからね。

 とにかく杉子との接触に一喜一憂する野島。大宮の方が魅力的で、嫉妬したりしますが、友情との板挟みでいろいろ悩みます。イケメンチャラ男の早川までやってきて、野島はもうどうしようもありません。

 そんな中、大宮は突如ヨーロッパ旅行を決断。見送りの際、野島は杉子が大宮を愛していることに気づいてしまします。

 やけくそになって求婚を申し込む野島。当然ふられる。本人にもう一度トライ。もちろんダメ。

 そんな中大宮から、手紙では言えないことを書いたから、雑誌を見てくれと言われます。

 それは大宮と杉子の手紙のやり取りでした。杉子は友情より私をとってくれとせがみます。大宮は最初の方、一生懸命断ります。すると杉子は野島のことを生理的に無理だ、大宮がいなかったら、早川と結婚していた、とか、絶対無理だ!などとぼろくそ叩きます。何回かやり取りが終わった後、本当は大宮も杉子のことが好きだったことを手紙で打ち明けます。

 なんだこれはああああああ!野島は大宮からのお土産であるベートーベンのマスクを地面にたたきつけて割り、発狂します。そして、インキャ小説家道を究めていくのです。孤独を感じながら。

 

 <感想>

 インキャにはつらい結末でしたね・・・。野島よりも大宮の方が小説家として成功していて、健康的な体をしていて、運動もできるんです。ちょくちょくでてきた早川も、イケメンでコミュ力高め、運動もできます。

 一方野島くんは、半分冗談で神の話をしている途中で、超絶早口で自分の考えを語ってしまうヤバイやつ。インキャにインキャを重ねたガイジなんです。そりゃ好かれません。

 大宮と野島の友情なんかありますけど、結構恋愛でぶちこわされるわけですね。どっかで見たことあるな?と思ったそこのあなた。そう、これは夏目漱石の得意分野なんです。「それから」はまさに友達の好きな女の子を主人公が奪うという展開でしたが、「友情」は奪われる側の苦しみを書いています。

 どっちかというと僕はインキャなので、「友情」の方がよくわかる。友情が大事な奪う側なんてのは、僕には全くわかりません。「こころ」くらいエゴ剥き出しな人間なんでね・・・。

 奪われる側、しかも友人に奪われるというのはなかなか来るものがあります。しかも、好きな子にぼろくそ叩き潰される野島くんの気持ち・・・。涙なしには読めない小説ですね。

 結局ね、人間エゴなんですよ。友情ってのはあくまでも理想的な概念でしかない。本当に恋愛という状況に置かれたら、概念は消え去るのみ。全てが消えた野島は完全な孤独のうちに沈みます。友情も恋人もない。もはや頼れるのは母のみ。この妙な孤独感は僕もよくわかります。人生なんか常に孤独なんだなぁってしみじみと感じましたね。

 終わり。